輸入盤のビニールを破くと、その国の空気が部屋に広がるようだ
かなり昔、音楽雑誌にこんなフレーズが載っていて、今も心に染みついている。
真新しい輸入盤の封を切るときには、いつもこれを思っていた。
レコードに針を落としたら、歌詞カードなんかないから、レコードジャケットを飽きもせずに眺めながら、音に耳を傾けていた。
そして気に入ったジャケットは部屋に飾る。
今でも覚えているのはエルヴィス・プレスリーの「That's All Right 」が収録されたサン時代のレコードだ。
時は流れ、音楽はCDの時代を経て、ダウンロードやストリーミングで聴く時代になった。
私もふだんはiPodに詰め込んだ音楽を楽しむことがほとんどだ。
最近、話題のSpotifyも興味深いし、使ってみたいと思っている。
しかし、そんなことに腰が重くなるにはワケがある。
やっぱり真新しい音楽を聴くときには「ビニールの封を切りたい」のだ。
その儀式をやっておかないと、聴いた気がしないというーおじさんとは困った不便な生き物だ。
先日、エルヴィスのRCA時代のほぼ全曲を収録した60枚組のCDボックスを購入した。
狭い部屋にはなかなか場所を取るシロモノ。
封を切って、箱を開ける。
壮観だ。ワクワクする。
スピーカーから「Blue Suede Shoes」が流れる。
そして私はやっぱりジャケットを手にして、ソファに横たわる。
音を耳で聴くだけではなく、ジャケットに手で触れ、目で楽しんでこそ音楽だと思ってしまう。
CDがぎっしり詰まった箱の重みさえ、愛おしく思う。
そして、おじさんとは困った不便な生き物だと、また思うのだ。
100万円はちょうどいい。
今週のお題「もしも100万円が手に入ったら」
とりあえず100万円は「ちょうどいい」。
これで人生が狂うほどの金額でもなし、しかし庶民であれば、それなりに贅沢な気分を味わえる。
そうだなぁ・・いまだったらBianchiのロードバイクでも買うかもしれない。
だいたい30万円あれば買える。
あとはエルビス・プレスリーのアルバムコレクション。
これは3万円ぐらいか。
特別なことをしたいとは思わない。
あくまでもふだんの生活の延長上で「今はなかなか買えないけど」ってモノを少し手に入れると思う。
若い頃は貪欲に「あれもこれも」があったけど、だんだん「これとこれがあれば充分」って、足りることを覚えてきたし、少し足らないことも楽しいと思えるようになった。
100万円は先の人生まで考えれば足らないけど、今この時なら充分に足りる。
これ、ちょうどいい。